玉木代表とコラボして「代表質問をHACK」するために学生限定のワークショップが行われ、北方領土から待機児童まで、多くの問題が取り上げられた。「代表質問」を皆で考える初めての試みは、若者が政治に興味をもつ機会にもなった。
動画 たまきチャンネル「代表質問をHACKせよ」
オープンイノベーションで代表質問をつくろう!(前編)では、「増え続ける国債について考えることをやめたの?」「北方領土の四島返還は諦めたのか」「日韓関係に言及しなかったのはなぜ?」などの意見を紹介しました。後編では消費税増税や待機児童の問題などを取り上げます。
消費税増税で二重三重に得をするのは高所得者層
伊藤 次に、消費税増税とプレミアム商品券やポイント還元などの課題ですが。
学生1 消費税を上げてもポイント還元するからいいことがありますよと言われているが、それはカードを使う人で、カードを使うのはそもそもカードを作れる余裕のある人になる。結局お金のある人にポイントがどんどん還元されていく。税金を上げて国民に良いことがありますよと言っているけど、実際に良いことがあるのは上の層や、お金のある人に限られて、全然再分配されていないのでは。
玉木 今回の消費税は二重三重四重に所得の高い人に有利。軽減税率で食料品は8%のままというのは、低所得者向けに見えるけど、実は食料品もお金を持っている人のほうが多く買うし、同じ牛肉でも高いものを買う。2%安くなるメリットも高所得者にいく。それを使って幼児教育無償化するというが、所得に合わせて保育料を払っていた高所得者が使い道でも有利になる。加えて、おじいちゃんおばあちゃんはカードでなかなか大根とかは買わない。メリットが特定の層に偏るのが今回の消費税の最大の問題なのでこれは取り上げたい。
学生1 その対策は立っていないのですか?
玉木 ないね。それで低所得者向けに出てきたのは商品券。
城井 プレミアム商品券や、2%上げて5%キャッシュバックとか。
伊藤 たまきチャンネルのチャットもだいぶ来てますね。
玉木 「政権の悪口ばかりで誘導する感じ」とあるが、そんなことはない。私は悪いことは悪い、良いことは良いと言っている。「そう決めたのは民主党だし」って、そうが何かわからないけど、われわれは低所得者対策として、給付付き税額控除といって、税金を払っている人は減税で、税金を払っていない人は減税しきれないので給付をするという、その組み合わせでシームレスに低所得者対策をしようと。絶対そのほうが良い。YouTubeのコメント「ややこしいことこのうえなし」、そのとおりです。「還元するなら初めから上げるな」そのとおりです。

「待機児童ゼロ」と強調するが、何年までに実現するのか?
伊藤 Twitterには「統計の不正」とか、「誰が見ても恥ずかしくない国会にすべき」「地方創生を豪語していたけど結局何をやったの?」「憲法改正なんでやりたいの?」など。「待機児童ゼロの目標は自分の任期ですか、それとも自民党としてですか」という意見は、男子学生ですね。
学生3 施政方針演説で「待機児童ゼロの目標は、必ず実現いたします」と、安倍総理がけっこう強めの口調で言っていましたよね。2020年までに実現するのか、期限は決めないで自民党としていつまでにやるのか気になりました。
玉木 もともと待機児童ゼロと言ったのは2018年度で、3年先送りして2020年度末となった。かつてやろうとしたのができなかった。今回期限が書いてないのはしれっとやめようとしているんだよ。幼児教育無償化になると、今まで以上に希望者が増えてますます入れなくなる。
城井 施設が必要、保育士が必要。ゼロの目標も「17万人分の保育の受け皿を整備します」もそう。必要な数の何割ぐらいサポートできるかを言ってない。代表質問はそういうところを聞いていく。
玉木 「総理は、必ず実現しますと力を込めて延べたが、その期限は2020年度末で変わらないか」と確認するので、そこで何と答えるかがニュースになる。無償化は良いことだと思うが、それによってかえって遅れるんじゃないか。
城井 政権にとって言いやすいことだけ並べてしまうと、何時という単純な質問をこちらからしなくてはならない。
玉木 記者から施政方針演説の感想を聞かれたので、「永遠の道半ばです」と答えた。
伊藤 「子供の格差是正について」とか「子ども省をつくってみては? 幼稚園は文科省、保育園は厚労省」とか。子どもに関しての質問は多い。
玉木 子ども省は絶対やったほうがいい。
城井 教員の働き方改革も聞かざるを得ない。
伊藤 「保育士の待遇改善」も質問が来ている。
玉木 地方では待機児童はいない。地域間の差とかも考えてやっていかないと。待機児童対策は待機児童がいる地域の問題だから、ある意味都会対策なんだよ。それを消費税で皆に負担してもらうのはどうかという議論があるのも確か。
アベノミクスはどこに向かっているのか
伊藤 代表質問HACKできそうですか?
玉木 「安倍首相は結局一番何がしたいのですか?」を聞いてみたい。
学生4 毎年同じことを言ってないですか。
玉木 「永遠の道半ば」だけど、これとこれをやったら「アベノミクスは完成いたします」にはびっくりした。まだ完成していなかったのか。
伊藤 この期に及んでまだアベノミクス推しかと私も思いました。
玉木 「アベノミクスは今なお、進化を続けています」と言うが、どこに向かっているのかわからなくなっている。
学生4 安部総理が何をしたいのか、優先順位をまず国民に教えてほしい。
城井 そこはしっかり聞きましょう。
伊藤 代表質問を学生さんにも聞いてもらって明後日反省会をやりましょう。
玉木 代表質問反省会は前代未聞だね。今原稿を書いている途中で、皆の意見も取り入れて、こんな形で代表質問を作っていくのはなかなかない。今の有権者だけでなく、次の世代のことも考えていかなくてはいけない。今だけ、金だけ、自分だけじゃない政治をどれだけできるか。今だけ、金だけ、自分だけという誘惑にかられやすい仕事なので、気をつけたい。今日の感想を皆さんに聞きたい。
学生5 大学生なので多少政治を勉強しているが、施政方針演説を今回初めて読んだ。一字一句どういうことか考えながら読むことはないので、自分自身も少し反省して、いい機会になった。
玉木 全部が悪いとは全く思わないが、批判的に何かを検証する目は常にもっていたほうがいい。日本では批判すると全部ダメと言うが、クリティカルシンキング、自分で検証しながら納得しながら詰めていくという頭の使い方はすごく大事だと思う。
知恵を結集する場が、若者が政治に興味をもつ機会になればいい
学生6 全然勉強していなくて、政治についても詳しくない。知らなかったので勉強していきたい。
城井 安倍総理の演説は国民に呼びかける場面が多かったが、それが伝わったかどうか。
玉木 若者に政治に興味をもってもらうには、こういう機会もいいと思う。オープンイノベーションは企業の研究開発手法だが、組織の中の知識や知恵では限界があるからどんどん外のものを入れていくのは政治の世界でも大事だと思っている。
Twitterでもいろいろな意見があったが、こういう形で安倍総理への質問をつくっていくのは初めての試みになる。皆さんの意見をこれから書く代表質問に取り入れます。これからも皆さんに色々な知恵をいただきたい。世界中の知恵を結集することが今の政治では大事で、俺が全部知っている、私の考えはいつも正しいってことにこだわらないことが大切だと思う。世界は変わっているから。変化は早いから。ぜひこれからもよろしくお願いします。