平成最後の通常国会が1月28日に開幕した。安倍総理の施政方針演説を受けて、各党の代表質問が行われる。その日の夜、国民民主党本部に、玉木雄一郎代表とコラボして「代表質問をHACK」するために、6人の学生が集まった。Twitterで募集した「総理に聞きたいこと」や、学生の意見を参考に代表質問をつくり上げる試みが始まった
動画 たまきチャンネル「代表質問をHACKせよ」
国民民主党玉木雄一郎代表は、2018年7月23日に「たまきチャンネル」をYouTubeに開設し、 「永田町のユーチューバー」として活躍しています。
国会開幕の日に開催された学生限定の代表質問ワークショップでは、施政方針演説全文を読み込んだ6人の学生から疑問点や代表質問に盛り込んでほしい意見が出されました。玉木代表と学生の意見交換は、「たまきチャンネル」でライブ配信されました。

「代表質問」を皆で考えてみよう
伊藤孝恵参議院議員と城井崇衆議院議員の「#代表質問をHACKせよ!」の掛け声でライブ配信が開始されました。
伊藤 最初に「代表質問」とは何か、政府四演説に対して代表質問をしていくが、「政府四演説」とは何かを城井さんから紹介していただきたい。
城井 今回は平成最後の国会で、第198回通常国会が正式な言い方になります。通常国会の冒頭で、安倍総理大臣より国政全般に関する基本的な方針を示す施政方針演説が行われ、その後、河野太郎外務大臣から外交演説、麻生太郎財務大臣から財政演説、経済再生担当の茂木敏充内閣府特命担当大臣から経済演説が行われました。
国会の初日に「政府四演説」が行われ、1日おいて「代表質問」が行われます。予算の使い道はどうかとか、作るべき法律は何かとか、行政を監視していてここはおかしい、ここは正すべきだということなどを、各党から質問して、一問一答だが、まとめて答えてもらう形で行うのが代表質問の仕組みです。
伊藤 代表質問は、政策秘書や政調職員が代表とブレストして作り上げる政党もありますが、国民民主党は玉木代表自身が原稿を書きます。「#代表質問をHACKせよ!」という今回の企画は、オープンイノベーションで原稿をつくりたいという代表たっての希望で、Twitterで総理に聞きたいこと、代表質問に織り込んでほしいことを、ライブで募っています。玉木代表に原稿は本当に白紙なんですがと聞いたら、まだ本当に白紙だって。大丈夫なの?
城井 それをあまり強調すると、遂に質問まで人に頼ったかという誤解を招くかもしれない。もちろん自分で考えるんですが、皆さんの声を受け止めながら質問する機会になったらということです。
政府四演説では「異次元の政策」を連発~その具体策が知りたい
伊藤 今日はネットで募った学生にも来てもらっています。ボードに貼ってあるのは、学生の疑問やTwitterに寄せられた意見です。紹介してみましょうか。「異次元ってどのくらい?」とあります。「政府四演説」では少子高齢化が最大の問題で、異次元の政策が必要と言っていましたね。「異次元」とか「革命」とか使いすぎじゃないですか。
城井 派手な形容詞、言い回しが多くて、それって具体的には何って言いたくなります。
伊藤 「カジノを作りたいのは何で?」とか「私たち世代は年金もらえるの?」とか素朴な疑問もあります。
城井 この辺は昨年も含めて議論になっていることだから、安倍総理からすると説明してきたとなるだろうけど、肝心の若い世代に伝わっていないことが伝わってきます。
伊藤 「安倍総理は結局一番何をしたいのか?」というのもあります。
ここで玉木代表が到着し、会話に加わります。
玉木 こういう質問が一番困るはず。玉木さん結局何をしたいのですかという質問が一番どきっとします。
伊藤 財政健全化を頑張りますとあるけれど、今回も歳入と歳出にこんなに差があるのに、施政方針演説の中で一切具体的なものはなかったですね。

増え続ける国債は「財政的な幼児虐待」
玉木 「増え続ける国債について考えることをやめたの?」という質問はなかなか鋭いね。なぜそう思ったの?
学生1 もともと授業などで国債の大きさは習っています。今年の演説では、ここにお金を注ぎ込みますというのはあるけど、増える一方の国債をどうするか、どうカバーするかに一切触れていない。増え続けているのに、この問題に触れることさえやめたんだと思って。
玉木 「新規国債発行額は11兆5千8百億円の減額」とあるが、なくなったわけでなく、大量発行していたものが少し減っているだけ。減額も操作していて、預金保険機構が管理する剰余金8000億円を国庫に納付させ、そのための法律を作ってまで一般会計に繰り入れている。国債発行額を減らしたように見せるために他の財布からとってきている。借金体質は変わらない。
答えを言おう。安倍政権は考えることをやめたの。後は野となれ山となれ。
学生1 でも何時か安倍政権は終わるじゃないですか。その時にどうなるのか。
玉木 受け取ってすぐに爆弾が爆発するわけではない。次か、次の次くらいに受け取った人が爆発する。安倍政権の間はもつ。
学生1 でもいつかは溜まりに溜まったものを受け取らなくちゃいけない時が来る。
伊藤 未来世代の人たち、まだ生まれていない人たちに先送りしている。
玉木 ボストン大学の教授は「財政的な幼児虐待」と言っている。国債費23兆5千億円のうち、十兆円くらいが利子の支払いである。金利がいまはすごく低く、借金している側は助かっている。それでも十兆円くらいが利払いなので、少しでも金利が上がると利払いが膨れ上がって大変なことになる。防衛費がこんなに増えたと言っても5兆円、その倍を毎年利子だけで払っていることになる。ちょっとでも金利が上がると財政はもたなくなる。でもいまは大丈夫だから考えることをやめたんだね。
でもそれは次の世代への先送り、次の政権に全部渡しちゃっている。安倍政権は一言で言うと、未来もすべて俺のものだとバクバク食べて、全部先に食べている。次の政権も大変だけど、国民も大変なことになる。
北方領土の四島返還や日韓関係に言及しなかったのはなぜ?
伊藤 次に「北方領土の四島返還は諦めたのか」という質問です。
学生2 これまで北方領土四島にこだわってきたのが日本政府の方針だったのに、ここ1、2年は二島返還あるいは二島決着というワードになっている。今までの方針から転換して、今の政府で何かしら実績を作りたい方針かなと思う。
玉木 結論から言うと諦めているのだと思う。1956年の日ソ共同宣言は両国の議会が認めている唯一の公式文書で、平和条約締結後に歯舞、色丹は引き渡す、逆に国後、択捉はロシアに属することを前提としている。そこをベースにするとしたら、国後、択捉はロシアでいいねということになっている。四島返還ではプーチン大統領はこの議論にのってこないと思う。たぶん今の時点で交渉が進んでいるとしたら国後、択捉については放棄しているんじゃないか。もっと言うと四島についても帰属はロシアだという前提でしているかもしれない。これは聞いてみます。
伊藤 Twitterから「総理が日韓関係に言及しなかったのはなぜ?」という疑問も寄せられました。
玉木 「米国や韓国」という並びで1カ所出てきただけ。たぶん、レーダー照射の事件が非常に難しいので、ガンガン言って韓国が中国、北朝鮮側に付いてしまうと困るので、あまり刺激するのもやめようということだろう。それに、韓国との関係はもういいんじゃないかと割り切って書かないことにしたのかもしれない。